レオナルド・ダ・ヴィンチは、音楽家?

Singapore Art Science Musiamでレオナルド・ダ・ヴィンチ展が開催されています。春節の休暇を利用して足を運んできました。

万能の天才”レオナルド・ダ・ヴィンチ。実は、 彼が最初は画家ではなく、音楽家として名が 通っていたということをご存知でしょうか。

フィレン ツェのロレンツォ・デ・メディチが「リラの名手」 としてレオナルドをミラノに派遣したとか、「美 しい声で歌が上手」という記述が残っているそ うです。

レオナルドとミラノで交流を持っていた 当代随一の数学者として知られるルカ・パ チョーリも、自らの著作の中で、レオナルドのこ とを「最も優れた画家、遠近法家、建築家、音楽 家」と称賛しています。現在では、画家や万能 の天才として語られることの多いレオナルドで すが、その“デビュー”は音楽家だったようです。

レオナルドはミラノの宮廷でゴンザーガ家に 仕え、結婚式や祭礼、パーティなどの演出家と してヨーロッパ中に名を馳せていきます。大が かりな機械仕掛けの舞台を作ったり、自動演奏 オルガンを作ったり、そこでの劇やコンサート などの出し物の監督をしたりと八面六臂の活 躍を見せていました。まさに宮廷パーティの総 監督のような存在だったのです。当時の権力者 にとって、宮廷で催される豪華で大規模なパー ティは政治的にも非常に重要な意味を持って いました。自らの権力を誇る、いわばステイタ ス・シンボルのようなものだったのです。そうし た意味で総合演出家として様々なアイディアを 持ち、自ら舞台デザインから大道具小道具の 設計まで手掛け、音楽家としても優秀だったと いうレオナルドは、時の権力者たちにとってな んとしてでも欲しい人材だったのかもしれませ ん。

『天は荷物を与えなず』とは、ダビンチには当てはまらないな~、などと考えながら観光客で溢れたMarina Bay Sandsでお茶を頂き、帰ってきました。