英検に代わる英語能力試験【TOEFLジュニアのメリット・デメリット】

前回、英検についてお伝えしましたが、このコロナ禍、シンガポール国内では、昨年より、英検の実施見送りが続いてますね。

そんな中、中学受験を控えている生徒さんの中には、TOEFLジュニアの受験を検討されている生徒さんもいます。

TOEFL Junior® Standard とは | GC&T公式ウェブサイト(TOEFL Primary、TOEFL Junior) (gc-t.jp)

TOEFLと言えば、英語圏への留学の際には、必ず必要になる英語能力試験ですが、

TOEFLジュニアは、TOEFLと同様、米国のETS(Educational Testing Service)によって開発された中高生向けの英語のテストです。

内容は、リスニング、ランゲージ(文法・語彙)、そしてリーディングの問題から構成されてます。

TOEFLジュニアを受験するメリットとしては、試験内容が、比較的インター校生向けと言えるということでしょう。

デメリットとしては、英検とはかなり内容が異なる試験であるため、子どもによっては向き・不向きがあり、

そして、小学生が受験する場合、不慣れなことが多いので、一通り問題集に取り組み、出題傾向に慣れておく必要があります。

例えば、英検準1級と比較すると、トータルの試験時間はあまり変わりませんが、問題数が英検準1級がリスニングと筆記試験を合わせた場合、70問+英作文なのに対して、

TOEFLジュニアはリスニング・ランゲージ・リーディングがそれぞれ42問あり、合計126問になります。

具体的に、リスニング試験では、アカデミックな授業を聞き、複数の質問に答えるという内容が、英検とは大きく異なります。

1分40秒~3分間という長さの授業やディスカッションを聞いた後に、4つの設問に解答するという形式は、インターに通う小学生にとっても難易度が高いです。

ランゲージのセクションは、こんな感じです。

見た目は、英検とずいぶん違います。

英語の多読の習慣があっても、英文法を体系的に学んでいないと難しく感じる問題もあります。

一方、リーディングの読解問題では、英検と比較した場合、図や表から的確な情報を探し当てる作業が、大きな相違点です。

インターの小学生でも、慣れていないと難しく感じるでしょう。

その他にも、5~6問の長文の読解問題があり、出題内容は、本文の要旨や目的に関する問題や推測問題、同意語や熟語、代名詞に関するものや、間違っている情報を特定するNOT問題など、多岐に渡ります。

リーディング対策としては、多読のみならず、日々の生活に英語のニュース記事などを読む習慣を取り入れ、さらにはその読解問題に普段から取り組んでおくと良いでしょう。

TIME for Kidsで時事英語 | オンライン英語レッスン (learning-stage.com)

英語学習者向けニュースサイト Newsela | オンライン英語レッスン (learning-stage.com)

 

TOEFLジュニアは、コロナ禍であっても、TOEIC同様、シンガポール国内にいながら定期的に受験できるというのが最大のメリットですので、

そういう意味では、選択肢の一つとして考慮してみるのも悪くありませんが、お子さんによって、向き・不向きがあるため、その辺の見極めは重要です。

Events for July 2021 – TOEIC Singapore

 

このコロナ禍、予定していた試験が受験できないなど、不測の事態に柔軟に対応していく適応力がますます問われてきます。様々な選択肢を探りつつ、子ども一人ひとりの可能性の芽を大きく育てていけるようサポートしていきたいですね。

英検で英語4技能アップ:インター校生が英検を受験する際のコツ

帰国の際、受験などで重視されることもあり、英検は、海外在住のインター生も受験してますね。

英検は、3級以上を受験する場合、リーディングやリスニングに加え、ライティングの問題で一次試験が構成されており、二次試験でスピーキング試験があります。

各級の試験内容はこちら↓

試験内容・過去問 | 英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会 (eiken.or.jp)

まず、どの級を受験すれば良いのか分からない場合は、各級の最初の語彙問題を試しに解いてみることをお勧めします。

例えば、準2級の語彙問題が7割出来て、2級は5割だったら、2級から始めてみるのがちょうど良いレベルになります。

インター生は、総じてリスニングは得意ですが、

一方で、筆記試験前半の語彙問題と、後半の読解問題と、最後のライティング問題の得意・不得意の差にバラつきが見られます。

英検対策として、ノンフィクションの多読は、特に有効です。語彙力強化につながりますので、語彙問題・読解問題の本文理解、共に効果的です。

長文読解に関しては、英検に限らず、その子の国語力とかなり相関関係が見られます。

小学校高学年ですと、塾に通うお子さんも多くなりますが、国語の力は、英語の読解にも関係してきますので、国語力を鍛えることは、英文の理解力にも相乗効果があります。

その上で、英文の構成上、重要になってくる接続詞等のつなぎ言葉に注目することで、長文を上手に読み進めていくためのスキルも身についていきます。

また、読解問題では、同意語を強化していくことが、いち早く正しい選択肢にたどり着くことができ、正答率を上げていくことにもつながります。

そして最後にライティングですが、自分の意見を論理的に述べる力が要求されます。

特に英検のライティングは、級が上がるごとに、意見を論理的に記述する力が徐々に養われていきますので、ライティングのスキルが級ごとにアップしていける仕組みになっており、とても良いトレーニングになります。

インター生にとって、ライティングの課題は難しくはありませんが、小学生の場合、論理的に物事を順序立てて書くことに慣れていないことも多いので、エッセイの構成などのテクニックを身に着けておくと良いでしょう。

さらに、普段から様々なテーマで自分の意見が述べられるように意識するなど、日々心掛けておくと良いですね。

一次試験に合格すると、二次試験でスピーキング力を測りますが、ここでは、筆記試験には出題されないような、日常生活の風景を英語で伝える能力が問われてきます。

日常的に英語を普段から使用しているインター生ですが、日常英語で意外にも知らない単語があることに気づき、様々な生活シーンを想定して、カジュアルな場面での英単語を増やしていくのがお勧めです。

 

海外で暮らす日本人のお子さんは、日本語も英語も同時に伸ばしていく環境にいますが、両方の言語を均等に伸ばすことは難しくても、その時々で、お互いの言語が上手に補い合い、全体の言語力が向上し、その相乗効果で感性や知識も豊かになっていくような、そんな経験であってほしいと思います。

 

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【英検準1級の壁】小学生は語彙力を、中学・高校生は読解対策を強化 | オンライン英語レッスン (learning-stage.com)

バイリンガルの鉄則

しばらく前になりますが、別々の方から、それぞれ異なるシチュエーションで、とても似たようなご相談を受けましたので、同じようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃると思い、少しシェアしてみようと思います。

内容は、お子さんの母語であるはずの日本語よりも、英語の方が強くなってきてしまっている、ということで、どうすれば良いか?ということでした。

この二つのケースですが、共通点がありました。

一つ目は、お子さんの年齢が低いということ。幼稚園~小学校低学年です。

二つ目は、ローカル校またはインター校に在籍、ということ。

そして三つ目は、お母様が英語を苦手としていないことです。

保護者の方が、英語を苦手としていない場合、お子さんがご家庭で英語を話すようになると、それは、当然、とても嬉しい成長として、親の目に映りますね。

そして、それに応えようと、ついつい英語で反応してしまう、という状況は容易に想像できます。

しかし、これが長く続きますと、海外生活を送っているお子さんが、母語であるはずの日本語をご家庭で耳にする機会がなくなってしまいます。

そのため、日本語を聞くというインプットが少ないため、日本語を話す機会というアウトプットも、当然ながら、減ってしまいます。

しかも、英語で話しやすい内容は英語で、そして、時に日本語の方が楽な時は、日本語で話す、ということが続きますと、この単語は、英語で知っているけど、日本語では分からない、または、その逆の場面も出てきます。

そのうち、同じ文の中に、日本語と英語が混ざるようになり、一つの言語で文を完成できなくなってきてしまうことも、少なくありません。

二言語の環境下で育つ子どもにとって、いわば、これが最も楽なコミュニケーション方法になってしまうことが往々にしてあるのです。

ここで、あまりネガティブな言葉を使用したくないのですが、とても分かりやすいので、敢えて使わせてもらうと、これではバイリンガルならぬセミリンガルになってしまいます(-_-;)

両言語を知っているようで、実は、どちらも中途半端な状態。

では、どうすれば良いか?

これは、ブログで繰り返しお伝えしてきていることですが、

日本語で話す時は、日本語で考える。

英語で話をする際は、英語で考える。

 

これは、バイリンガルの鉄則です(^-^

 

ただ、実際問題、これが難しい(・・;)

私も未だにできない時が、正直、あります。

でも、真のバイリンガルを目指すのであれば、これは必須です。

しかも、年齢が低いうちから、この言語の切り替えを意識しながら生活することは、意外にも、子どもにとっては、あまり難しいことではありませんが、周りの大人の努力も必要になってきます。

英語に少し慣れさせるという意味で、ご家庭でも英語を導入してみるのは良いでしょう。

この時、大切なのは、お子さんが英語に慣れてきたら、家庭内での日本語と英語のバランスを考える臨機応変な対応です。

これも繰り返しお伝えしていることですが、お子さんは、日本語である母語以上に英語が話せるようにはなりません。

日本語で物事を理解する認知能力を向上させることが、将来的に、英語を上達させるコツなのです。

実際に、どちらの言語も十分に発達していないと、年齢相応の認知能力が保てなくなるリスクもありますので、気をつけてあげましょう。

目的と手段、母語と第二言語、親の期待と子どもの成長。

全ては、どうバランスを取るか。

英語とAI

いよいよ、令和の幕開けですね。

平成の時代、私はブラジル→日本→アメリカ→ノルウェー、そして現在の居住地のシンガポールの5か国に住みました。

ほとんどが家族の都合での移動で、唯一、自分の意志で住んだのは、アメリカだけですが。

今現在、海外で育つ日本人の子どもたちも、そうですね。

親のお仕事の都合で、海外に住むケースがほとんどでしょう。

そこで、適応力や順応力を養っていく。

ただ、私の周りを見ていると、親の都合により海外で育った人は、帰国後、そのまま国内で大学進学、そして就職している人が多いので、やはりそこには自分の意志というものが大きく関わっているようです。

そして、たまたま家族で英語圏に赴任したので、自然と英語が身についた場合、英語が得意、語学を特技と捉えがちですが、今や、人工知能のAIに仕事を奪われないよう意識するような時代。

英語ができるだけでは、明らかに十分ではありません。

そこには、AIにはできない付加価値が求められます。

英語は、いつの時代にもツールであり、目的ではありません。

今では自動翻訳機でAIが、ほとんど訳してくれるので、英語習得そのものが必要ないかといえば、それも違いますね。

AIを使いこなせるには、それなりの語学力も必要。

そこそこの英語力はAIに取って代わられるので、むしろそれ以上の語学力がないと、これからは厳しいかもしれません。

「英語が話せます」以外の付加価値。

そこには、読解力も、ますます問われてきますね。

あの東ロボくんが、苦手なのも読解ですね。

今後は、英語も学習方法が問われてくるかもしれません。

英語を身につけ、AIをどう活用していくか、という時代ですね。

五月病ならぬ「11月病」

11月も今日で終わりですね。

日本では、新年度の環境変化やその後の長期休暇後の心身の不調にちなんで五月病という言葉を耳にしますが、ヨーロッパでは、5月ではなく、11月が要注意なのです。

私が数年暮らしていた北欧では、11月は特に変化が顕著なのですが、イギリスやドイツなどの北ヨーロッパにも、少なからず当てはまることかもしれません。

北欧ノルウェーでは、10月に初雪があります。

まだ10月なので、雪といってもチラチラ降る程度で、決して積もったりはしません。

しかし、これが11月になると、一気に日照時間が短縮。

なが~い、暗い冬の到来です。

当時、夕方4時頃に幼稚園に子どもを迎えに行っていましたが、行きはまだ辛うじて明るいのですが、帰りはもう真っ暗(-_-;)

11月に入ると急に暗くなるのが早くなる、というこの現象が人間の精神面に大きく影響するようです。

降雪が増える12月は、積雪で街が逆に明るくなるので、それが意外にも気分を好転させてくれます。

なので問題は、やはり11月。

変化についていけず、心身に不調をきたす人が多くなります。

実際に11月病とは呼びませんが、季節性感情障害と診断を受ける人が一定数いるので、北欧では、こうした疾患の適切な治療事例の蓄積も豊富です。

私が事故に遭ったのも11月でした。歩行中、車の衝突事故に遭ってしまい、顔に4針縫う怪我を負ってしまいましたが、数ミリずれていたら失明していたかもしれないと医師に告げられ、不幸中の幸いでした。

統計的にも、11月は事故も多い時期だそうです。

体がまだ暗さに慣れていない、そしてまだ雪の生活になれていない等、様々な要因が重なり、注意が必要な時なのです。

この11月病(あるいは五月病)ですが、語学を学ぶ上で経験するスランプに似ているかもしれません。

語学を習得するには、どうしても時間がかかります。

そして頑張っている過程で、壁に当たったり、スランプに陥ることもあります。

でもそこで、五月病(あるいは11月病)のように、そういう時期が、傾向や可能性として存在することを予め予想できると、上手に対処することもできます。

語学を極めようとする途中でやってくるスランプや停滞期も学習プロセスの一つ。

ある一定のレベルになると、誰もが経過するであろう通過点として捉えてみる。

そして、スランプとは実は、成長を促してくれるポイントとして向き合う。

先日お話しした threshold の概念。

スランプ時は、まさにこの threshold をちょうど超えようとしている時期ゆえに苦しく感じるのかもしれません。

超えたら変化が見えるので、成長が実感できます。

停滞期はやって来るもの。

しかし、その threshold を超えたら、その先に待っているのは成長でしかないと思えば、それはそれで楽しみですよね。

11月病を乗り切るのに、キャンドルの炎は癒しの効果があります。

語学学習における、自分なりのスランプの乗り切り方を

上手に見つけていきましょう。

 

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それぞれのタイミングで

それぞれのタイミングで

英語力がある程度備わっていても、なかなか英語を話さない子がいます。

一方で、語彙力はそれ程身についていなくても、躊躇なく英語を話し始める子もいます。

通常、語彙力などの英語力は会話力と比例するものですが、それでも、子どもが実際に英語を発するタイミングはまちまちです。

もちろん、年齢や海外での滞在期間も大きく影響しますが、

英語圏の教育現場で、よく使用される表現の中に scaffold threshold というものがあります。

Scaffold とは、工事現場などで必要とされる「足場」ですね。

丁寧な足場は、安全な工事現場の基礎ですよね。

全ての建築物は、この足場が基本と言えますね。

同様に、教師が子どもにできるのも、この scaffolding の役目なのです。

しっかりと基礎を固めてあげる。

ただ、thresholdというのは、子ども一人ひとり異なります。

日本語では、敷居、境界線とか、しきい値、基準値などと訳されますが、ある一定のラインを超えると変化があるが、それ以下だと変化は見られない、という一定の基準のことです。

なので、無意識に threshold を高めに設定している子は、なかなか英語を発しませんが、逆に設定が低いと割とすぐに英語を話すようになります。

しかし、英語を話し始める時期=ある一定の英語習熟度とはならないので、複雑ですね。

自分の threshold を決めるのは子ども自身なので、英語をどの時点で話し始めるかは、その threshold を果たして超えたかどうか、という差なのです。

そのため、英語力がついていると判断してアウトプットを急かせてしまうのは、かえって逆効果。

子どもはすぐに英語が話せるもの、と思われがちですが、深刻な場合、大人が何気なく発した一言がトラウマの原因になることも。

下手な英語を話すくらいなら話さない方が良い、と思う子も中にはいるのです。

大人も同じですよね(-_-;)

その子にとって最高の舞台を築いてあげるような、そんな気持ちで見守ってあげましょう。

子どもは、脇役(意外にもここ、重要です!)や衣装、舞台装置などが一通り揃って初めてステージの上で輝けるのです(^-^V

その子が、真の意味で、自信をつけた時が、その子にとってのベスト・タイミング。

どんな子どもにもベストなタイミングがある。

それは、その子が最も輝ける、その子にしか分からない

ベスト・タイミング☆彡

「母語ファースト」&「リーディング・ファースト」

鳥飼玖美子著 『子どもの英語にどう向き合うか』

書店で何気なく手に取り、たまたま購入した1冊でしたが、

日頃から心掛けている「母語ファースト」「リーディング・ファースト」の実践を裏付けてくれるような、そんな嬉しい内容の本でした。

母語の重要性は、このブログでも度々触れていますが、

鳥飼先生は日本の英語教育史を辿り、幕末のジョン万次郎と当時の通詞(つうじ)たちの英語を比較し、母語が果たした役割と英語の読み書きにおける徹底的な違いがあったという記述が、とても印象的でした。

若くしてアメリカに長期滞在し「英語漬け」の生活を送り、英語は流暢に話せたものの、「高度な」「正しい」文章は書けなかったとされるジョン万次郎。

一方、通訳・翻訳・通商事務などに精通していた通詞たちは、外交の場で活躍し、開国の危機を乗り越え、陰で日本の近代化に貢献した役人たち。

日本国内で地道に外国語の読み書きを行い、その英語力は外国人でさえ絶賛したと言う。

さらに、明治時代の津田梅子らの例は、今の子どもたちにも通じるものがあり、他人事とは思えません。

津田塾大を創設したことで知られる津田梅子は、当時の英語の達人の一人でしたが、アメリカから帰国後は、家族と話をする時にも通訳が必要なほど日本語に不自由したようです。

鳥飼先生曰く、母語獲得は「人間として言葉を使う土台を作る」ことであり、「英語の土台を作ることは、母語である日本語の学びが不可欠」と指摘しています。

特に最近の日本における英語教育が会話中心に傾倒し、日本語を使用しない指導にこだわることは、英語のインプットを増やすという利点は認めつつも、

「コミュニケーション重視の外国語習得を正しく理解していない」と述べ、その上で、コミュニケーションと称し、話すことを中心に時間を割き、

「読み書きは関係ないという誤解がすっかり定着している」と危機感をあらわにし、読む・書くといった技能は、英語力の要であると位置付けています。

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日々、英語を教える中で、私自身が根底に感じていたことと合致し、背中を押してもらえたような、そんな内容でした。

先生は基本的に、日本で育つ子どもたちの英語教育を中心に書いていますが、

ここシンガポールでは、日本人学校に通う子どもたちでさえも、英語は外国語ではなく、第二言語であり、生活に密着しています。

一方、インター校生にとっては、英語が第二言語であっても、英語を母語とする子どもたちと一緒に、同じ授業を受けます。

こうした海外で生活する子どもたちにとっては、日本で育つ子よりも、母語がさらに大事になり、英語と母語のバランスは一層、切実な問題であると認識し、より真剣に捉えていく必要があるでしょう。

普段、英語を教えながら感じていたことを代弁してくれているかのような内容に励まされる思いでした。

これからも「母語ファースト」「リーディングファースト」で

子どもの世界を豊かなものに♡

【ノーベル賞ウィーク】基礎研究とバイリンガル教育

今年も、日本人のノーベル賞受賞が決まりましたね☆

今回、医学・生理学賞を受賞された本庶先生もそうですが、ここ最近、基礎研究の重要性を訴える研究者が目立ちますが、

バイリンガル教育と共通するものがあるなぁと思って聞いています。

実用性ばかり追い求めてしまっては、基礎研究は、なかなか進みません。

私自身バイリンガル教育を専門としていますが、

残念ながら、日本人の間では知名度が低く、理解も浸透しておらず、

ただ安易にバイリンガルを育成する教育 (^-^;

という少々短絡的なイメージや

他の英語教授法との区別を認識しにくいなど、誤解を招く場合も多々あります。

一概にバイリンガル教育といっても、様々な手法がありますし、

定義も一定ではなかったりするのですが、

私が仕事上、最も重視しているバイリンガル教育の概念は、

何よりも子どもの母語を元に第二言語の習得を目指す、という点です。

バイリンガル教育といえば、カナダのケースが成功例として良く取り上げられますが、

バイリンガル教育の中でも、特にイマージョン (immersion) という方法での成功例ですね。

一方、アメリカのバイリンガル教育は、国の移民政策にいつも大きく左右されてきました(-_-;)

英語ができない移民の子どもたちの教育に、敢えて母語を使うかどうか?というのが論争の中心なのですが、

バイリンガル教育の支持・不支持においては、その時々のアメリカの政権とその移民政策に対する考え方が、常に影響してきました。

カリフォルニア州では、1986年に早々に、バイリンガル教育は廃止に追い込まれました。

一体、何故なのか?

それは、すぐに結果が出ないから(・・;)なのです。

その後、政権が変わる度に復活するのですが、また政策転換により、またも廃止。

この繰り返しで、一番の被害者は子どもたちですよね(-_-;)

子どもに英語で英語を教えた方が、大人は目に見える形で「期待した結果」を実感しやすいのですが、

長期的に考えた際、二つの言語を同じように操れるようになるのは、母語を通して英語を身につけた場合なのですが、

二言語を扱うため、どうしても結果が「見える」までにはある程度の時間を要します。

私自身、一連の理論も学んできていますが、自分自身を実験台に、経験・体感してきていることなので、疑いの余地がありません。

どんな語学教育も、根底にあるのは、母語がどれだけしっかりしているか、です。

即効性や効率性が謳われる世の中ですが、ノーベル賞受賞者が力説するように、長期的に見ると、基礎固めが何よりも根本ですね。

基礎研究の重要性を語るノーベル賞受賞者の言葉に、

思わずバイリンガル教育に通じるものを見出してしまいました☆彡

平和は身近なところから

9月21日は、国際平和デーだそうです。

一日だけでも停戦する。

非暴力と敵対行為の停止を人々に呼びかける、

国連が定めた記念日。

「一日だけでも停戦しよう」

「一日だけでも平和な世界でいよう」

そんな思いから一人のイギリス人俳優ジェレミー・ギリから始まった動き。

国連の記念日と制定されてから17年ですが、

今でも世界のどこかで紛争が起きており、実現できそうで何故か実現できていない現状。

そこに込められた思いに共感しつつも、

世界平和が実現していない現状だからこそ

その大切さが心に響く、ということも重く受け止めなければならない現実ですね。

結局のところ、実は平和は身近なところから始まり、

身近な平和が世界平和へと波及していくのであれば、

身近なところが平和でなければ、世界平和も到底、難しい。

小さい頃から英語に触れて育つということは、それだけ世界を身近に感じながら、子どもたちは成長します。

私たちの世界は、今後、どれだけのジェレミー・ギリを果たして輩出していけるでしょうか?

世界中、こんな光景が毎日、当然のように訪れる持続可能な未来を。

真のエンリッチメントとは?

海外のインター校に通うお子さんは、学校では英語、そして家では日本語を使用する、というケースが圧倒的多数ではないかと思います。

ご家庭では英語ではなく、日本語を使用することは子どもの母語教育やアイデンティテイー形成にとても重要なことですが、その場合でも、家庭内に英語の本を置いておくのは大切だと痛切に感じます。

私はブラジルで育ち、ローカル校に通ったので、学校ではポルトガル語、家では日本語という環境でした。

今、振り返ってみると、親は言葉ができなかったので当然ではありますが、家には殆どポルトガル語の本がなかったなぁと思い出します。

そうすると、言語環境の全く違うこの二つの世界が完全に分断されてしまうのですね。

学校と家庭をつなぐものがなく、二つの環境が断絶してしまいます。

同じ言語でつながっていないため、学校で家のことをシェアするのも難しいし、家で学校のことを日本語で話すのも面倒になってしまう(^o^;)

そこで、この二つのパイプ役を果たすのが、学校の使用言語の本の存在なのです(^∇^)

英語の本を数冊、手元に置いておくだけでも、それが学校と家庭の橋渡しになります。

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私はノルウェーとシンガポールで、大学の脳神経の研究室で働いていましたが、ネズミにも「エンリッチメント」と称して、オモチャやネズミを刺激するものを与えたりします。

環境エンリッチメントと脳神経細胞の増加を実証した論文は多数あり、豊かな環境が、脳の活動や記憶力にどう影響するか、という実験を行う研究もあります。

そうした実験では、普段よりも大きめのケージを用意し、Enrichment (エンリッチメント)と称し、ネズミの活動を活発化させるであろう物を揃えます。

まさに、環境を「リッチ」にしてあげるのですね。

コロコロ転がるボールを入れたり、隠れて遊べるトンネルなど、エンリッチメントとなる道具を数個、そして種類も幾つか用意されます。

近年、運動と記憶に関する研究も盛んですが、ケージ内にランニング・ホイールを入れてあげると、ネズミは実際に良く走ります。

私たちに置き換えた場合、子どもの知的好奇心を満たしてあげる活動も、重要なエンリッチメントですね。

オモチャだったり、絵本だったり、更には、子どもが外へお出掛けしたり、お友達と一緒に遊んだり、全てが子どもの成長に影響するエンリッチメントです。

ないよりは、あった方がもちろん良いですが、量が必ずしも質につながるものでもありません。

生まれたばかりのネズミは走れないので、ケージにランニング・ホイールを入れても意味がないのと同じですね(・_・;)

ノルウェーでは、ネズミにレゴブロックをあげていましたが、シンガポールでは、ケージにティッシュのような柔らかい紙を入れていました。

ネズミは、隠れたり、物を噛み千切る習性があるので、紙の影に隠れたり、小さく千切って上手にフワフワの巣を作ったりします。

子どもに英語の本をたくさん与える過程で、情報収集したり、親にも気づきがあって、そのプロセスを丁寧に踏んでいくことが、それぞれのご家庭に合ったベストなエンリッチメントが見つかり、子どもの豊かなリーディング環境を構築していくことになるのではないでしょうか。