大学受験で、英語民間試験導入の賛否。そして、その先へ。

最近、高校生を教える機会が増えました。

そこで、長年の疑問だった、なぜ日本人は、中・高の6年間の英語教育で英語が身につかないのか?という問題を、少し考えてみたいと思います。

使える英語を育んでいない、と言われる日本の英語教育ですが、最近の高校の英語教材や、一般の市販の英語教材を見ていると、原因は大きく二つあると思います。

① 英語の教材が、生徒のレベルに合っていない

② 表現は一つ、という誤った指導法・学習法

最近は、英語教材の幅も広がり、教材選びも選択肢が増えました。

良い教材が入手できる一方で、それを使いこなせる環境が揃わないと、その教材の良さは引き立ちませんね。

良い教師と良い教材があっても、それが生徒のレベルに合致していなければ、良いとされている教材を使用する意義が損なわれてしまいます。

さらに、これは受験英語にも通じることですが、たくさんあるはずの英語表現の中から、唯一一つだけが正解、という先生の教え方・生徒の学習方法がすでに定着してしまっていること。

表現方法は無数に思い浮かぶような問題でも、この (  )とこの (  )に入れるべき単語は、何でしょう?という問題が、最たるものだと思います。

答えは無限にあるはずなのに、この場合は、何故これだけが正解なのだろう?と疑問を持たざるを得ません。

では、この状況をどう打破していくか?ということですよね。

今年度は実施が見送られましたが、大学入学共通テストで、英語民間試験を導入するという案は、打開策につながると考えています。

理由は二つ。

① 画一的な指導法・学習法を見直せる

② 英語民間試験は、テスト作りのプロが作成している

英検やTOEICなどの民間試験のための勉強をしていると、同意語や単語の言い換え・置き換えを理解できていないと解けない問題が多々あり、様々な語彙・英語表現を学んでいけるので、学習範囲も必然的に広がります。

民間試験の過去問や、それに向けた問題集だけでも、優秀な教材となり、それで確実に英語力がつくのであれば、これだけで上記①と②の問題点が解消されます。

一方、各種英語試験は民間であるために、その内容は、常に厳しい批判の目が向けられているため、試験内容の維持・向上が常時、期待されます。

レベルが下がったり、内容が実力を伴わないものだったら、存続自体が危ぶまれて、市場で生き延びられません。

実際に、TOEICやTOEFLなどの英語試験を制作しているETS社は、長年、アメリカの大学受験に必須のSAT試験に携わってきた経緯がありますが、SAT主催機関のCollege Boardが、SATのライティング試験に関して、ETS社との契約を打ち切ったというケースも過去にあり、どの民間試験にとっても、公平性や試験内容・レベルの維持そして、その向上は、シビアな問題です。

ETS Loses SAT “Writing Test” Contract | FairTest

一方で、導入に課題があることも否めません。

学校現場での混乱や負担の増幅、そして受験生やその家族の経済的な負担も含めた問題や、一定の英語試験に偏りが見られたり、それを商機と捉える英語教育市場など、問題は確かに山積しています。

ただ、数々の課題も否定せずに、前向きに議論を続けていくことは、有益です。

賛成派も反対派も、行き着くところは、日本人の英語力向上という共通の目標があるわけですから。

 

しかし、この先は、余談になってしまいますが、仮に民間テストが導入されたとして、そこをゴールとしてしまうのは、英語力向上という意味では、それは大きな落とし穴とも言えるでしょう。

この手の議論が白熱すると、〇〇試験満点講師のテキストなどが良く売れるようになったり、「〇〇試験満点」が話題になり、それだけが一人歩きしてしまいがちです。

もちろん、試験で満点を取ることを目標に、英語学習に励むことは悪いことではありませんが、満点取得が英語学習の最終目標ではないということを視野に入れることも大切です。

実際、留学経験者であれば誰でも実感してきていることですが、満点に近いテスト結果が、実際に留学先で通用するかと言うと、それは入学する資格を得た、というだけであり、その先は、別の努力が必須となり、そこは〇〇試験満点が何の意味も持たない世界であることも事実です。

 

今できること。

まずは、今はじめられることから、少しずつ。

 

【関連記事】

英検で英語4技能アップ:インター校生が英検を受験する際のコツ | オンライン英語レッスン (learning-stage.com)