シンプルな絵本ほど大人へのメッセージ性が強い

毎年アメリカで最も優れた絵本として表彰されるコールデコット賞を1969年に受賞して以来、その後も数回にわたりコールデコットのオナー賞(次点)を受賞しているユリ・シュルヴィッツ。

そのコールデコット・オナー賞の受賞作である SNOW という絵本。

日本でも『ゆき』というタイトルで出版されていますが、さくまゆみこ氏の翻訳がとっても良いです(^^

シンプルなストーリーで文字も少ないけれど、使用している語彙は、敢えて小さな子どもレベルに落としていない。

そんな絵本が、英語の絵本には多いような気がしますが、だからこそ大人が読んでも面白いのでしょうね。

この作品も、そんな絵本です。

ユリ・シュルヴィッツは、絵本の真髄とも言える「少ない言葉で深い世界観を語る」ことを貫いている絵本をたくさん生み出しています。

最近の絵本作家さんは、言葉を無駄に多く使用しているところが残念に思うことがあります。

絵が力強かったり、誰が見ても素敵な絵だったりして、絵の技術やセンスで魅了してくれるのですが、「ことば」よりもむしろ「絵」を専門としている絵本作家が多いからか、絵の中ですでに多くのことを語っているので、どちらかというと言葉は敢えて少ないくらいの方がバランスが良い。

言葉を厳選しているからこそ、シンプルでも奥の深い世界を表現できるのですね。

この絵本を最近、ある生徒さんと一緒に読んだのですが、読み終わってその子が一言。

「大人は間違ってたね」

そうなのです。

この絵本に登場する大人は、子どもの言うことに耳をかさず、「そんなわけない」「こっちが正しい」と主張しますが、最終的には子どもの思いが実現します。

ユリ・シュルヴィッツの絵本は、メッセージ性の高いものが多く、大人にも、とても深いメッセージを投げかけているように思えます。

時には周りに迎合せず、自分を信じる力、自分を肯定する大切さ。

大人も自分自身の中に存在する「小さな子ども」が伝えてきてくれることに耳を傾けていきたいですね。

良い絵本は、大人の心にも響くものです。

様々な意味で分断された世界を生きる現代の私たち。

狭い感情に囚われず、物事を俯瞰して見る力を養い、

何事にも揺らがず、自分の軸をしっかり持ち続けることが

少々、困難な今の時代だからこそ、

深く響くメッセージ*

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